今回は東京都の東京地方裁判所本庁で自己破産(個人)を申立てする時のポイントについて、いろいろと紹介できたらと思います。後述しますが、立川支部については、別途記事を作成します。主に以下と私の経験を基に紹介していきます。
- 東京地方裁判所でもらえる即日面接通信
東京都の地方裁判所はどこにある?
お住いの方は、東京地方裁判所で自己破産の申立てをすることとなります。また、勤務先(経済生活の本拠)が東京都にある場合なども東京地方裁判所本庁で自己破産の申立てをすることも可能です。
東京地方裁判所は4カ所ありますが、自己破産の申立てをするのは、東京地方裁判所中目黒庁舎(ビジネス・コート / 本庁)※と東京地方裁判所立川支部の2つのみになります。
※ 東京地方裁判所本庁の庁舎という位置づけで支部ではありません。中目黒庁舎は令和4年10月に開設され、それまでは東京簡易裁判所内(霞が関)にありました。地方の専門家が東京に申立てをすると、間違えることもありますので気をつけましょう。
管轄の地域について
東京地方裁判所中目黒庁舎(ビジネス・コート):千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区、三宅村、御蔵島村、小笠原村、八丈町、青ヶ島村大島町、利島村新島村、神津島村
東京地方裁判所立川支部:町田市、多摩市、稲城市青梅市、福生市、羽村市、西多摩郡の内、瑞穂町、奥多摩町、武蔵野市、三鷹市、小金井市、小平市、東村山市、西東京市、清瀬市、東久留米市、立川市、府中市、昭島市、調布市、国分寺市、国立市、狛江市、東大和市、武蔵村山市、八王子市、日野市、あきる野市、西多摩郡の内、日の出町、檜原村
つまり、中目黒庁舎(ビジネス・コート)では東京23区と東京都に属する島、これ以外の東京都の市町村を立川支部か管轄しているような感じです。
なお、この管轄は住民票や戸籍上の住所地ではなく、実際に住んでいる場所で判断する「実質主義」が用いられます(参考:自己破産の申立て裁判所はどこ?住所と通勤先で選べる可能性も)。
東京都の各裁判所の印象は?
私の感覚的なものになりますが、本庁を普通の基準とするとこんな感じのイメージです。
- 立川支部:厳しい・細かめ
- 中目黒庁舎:普通
東京の自己破産は、他の裁判所には無いような運用があり、「型にはめて、はみ出た部分を処理・処分」するような印象です。良くいえば、答えが見えやすく見通しが立ちやすい。悪く言えば、柔軟な対応はほとんどしない印象です。
東京都における自己破産の特徴は?
東京都の自己破産申立書の書式は、本庁と立川支部で大きくことなり、それぞれ独自の運用がありますので、今回は本庁について紹介していきます。
管財事件と同時廃止の線引きは?
即日面接通信vol. 1によれば、「破産法は管財手続を原則としており、同時廃止はその例外に当たります。事前の調査及び手続の選択の参考としてください。」
いわゆる管財事件の類型として以下のように説明されています。
- 換価対象資産の清算型
33万円以上の現金があるまたは預貯金、保険、自動車、過払債権、退職金請求権の8分の1相当額(退職済みの場合は4分の1相当額)等(各資産ごとに20万円以上かが基準となります。) - 資産等調査型
代理人の調査を経たものの20万円(現金は33万円)以上の資産を有していないことが明白でないときは管財事件として取り扱われます。特にこの「 明白 」という部分がポイントで少しでも可能性があれば、管財事件として扱われます。 - 免責調査型
免責不許可事由の存在が明らかでその程度も軽微とはいえない場合は、管財人による免責調査をするため、管財事件として扱われます。 - 法人併存型
法人の代表者は、原則として当該法人と併せて管財事件として取り扱われます。
私の知る限り、即日面接通信はvol.26くらいまでありますが、そのうちの10通ほどが、同時廃止を希望したが、管財事件に移行した案件の調査報告であり、同時廃止の壁が厚いと言っても過言ではないと思います(参考:同時廃止から管財事件へ!自己破産の手続きが移行する理由とは?)。
東京都の自己破産で必要になる破産管財費用の最低額は?
代理人(弁護士)が申立てをする場合、最低20万円~となっております。ただし、本人申立て(司法書士を含む)の場合は、最低50万円~となっております。
参考:東京地方裁判所民事第20部が発行する破産事件の手続費用一覧
東京地方裁判所本庁の自己破産特有のルール
東京地方裁判所本庁における自己破産手続きには、他の地方裁判所とは異なる独特な運用ルールを紹介しま
す。
プラスルール
- 即日面接ルール
東京地方裁判所では、破産申立ての翌営業日から3日以内に「即日面接」という制度があります。この面接では、裁判官が申立代理人から電話で聴取を行い、予想される管財業務の内容等の必要な事項を確認します。また、同時廃止で申立てを行った案件では、管財事件に移行する可能性をこの面接で阻止できる可能性があります。 - 管財事件だと開始決定の見通しが立つ
通常の管財事件の場合、東京地方裁判所では特段の事情がない限り、原則として面接を行った日の翌週の水曜日の午後5時に破産手続開始決定をする運用となっています。これにより、申立代理人や関係者は開始決定のタイミングを予測しやすくなっています。
マイナスルール
- 管財人との打ち合わせに急を要する
東京地方裁判所では、破産管財人が選任された後、開始決定日までに破産者は管財人との面談を行う必要があります。 - 自由財産の拡張はほぼ認められない
東京地方裁判所では、個別に合計20万円未満の預貯金、20万円未満の解約返戻金、20万円未満の価値の自動車、20万円未満の退職金(原則として8分の1にしたもの)などを自由財産としています。これらは自由財産拡張申立てをしなくても自由財産とする扱いですが、これを超える範囲での自由財産拡張は限定的になります。
例えば、病気がちの人が保険を解約されてしまうと再度加入が困難な場合など、特別な事情がある場合には20万円以上の解約返戻金があっても自由財産拡張の申立てが認められる場合がありますが、資力があれば、解約返戻金額に相当する金額の財団組み入れを求められることが多くなっています。
その他のルール
- 破産者審尋&免責審尋ルール
東京地方裁判所では、同時廃止事件の場合、弁護士が代理人となっている場合には本人が裁判所に出頭する必要があるのは免責審尋期日の1回のみとなっています。一方、司法書士が同時廃止で申立てる場合には、破産者審尋と免責審尋の2回の出頭が必要です。 - 非招集型ルールはない
東京地方裁判所では、他の一部の地方裁判所で採用されている非招集型の債権者集会制度は採用されておらず、管財事件では必ず債権者集会が開催されます。 - 管財費用は最大4分割
東京地方裁判所では、管財人への引継予納金20万円について、原則として申立て時に準備が必要ですが、例外的に分割での支払いを認めています。分割できる回数は最大4回となっており、毎月5万円ずつ準備ができる状況にある方であれば、引継予納金については分割で支払うことが可能です。
自由財産の扱い
- 基本的な自由財産
東京地方裁判所では、99万円以下の現金と各種差し押さえ禁止財産は、破産法34条3項により自由財産となります。 - 東京地裁独自の自由財産基準
東京地方裁判所では、個人の破産事件について独自の処分・換価基準を設けており、以下の財産については自由財産拡張申立てをしなくても自由財産として扱われます。
- 合計20万円未満の預貯金
- 合計20万円未満の解約返戻金
- 20万円未満の価値の自動車
- 20万円未満の退職金(原則として8分の1にしたもの)
東京都の自己破産申立書(本庁)の各種項目
申立書の内容も地域によって、違いがありますので、こちらで紹介できたらと思います。主に依頼者さんと協力して作成するのは、財産目録・報告書・家計収支になろうかと思います。
申立書の作成時に「こんなことを聞かれるかもしれない」「提出する書類で内容が明らかになるか?」と対策することができるので、良かったら参考にしてみてくださいね。
申立書表紙
- 氏名(旧姓)の漢字表記とふりがな
- 生年月日
- 住民票と居所が一致しているか
- 手続進行(同時廃止・管財事件)の希望
- 即日面接希望の有無
- 生活保護受給の有無
- 所有不動産の有無
- 関連事件の有無と事件番号
- 管轄に関する意見
債権者一覧表
- 債権者名
- 債権者への書類送達先
- 初回利用日、最終利用日、最終返済日
- 借金の現在残高
- 借金の原因、使途
- 保証人
- 備考欄:係属事件や債権移転、別除権等の実行等
- 税金等、公租公課も同様
資産目録
- 申立て時における33万円以上の現金
- 預金・貯金
金融機関、支店名、口座の種類、口座番号、申立時の残高 - 公的扶助(生活保護、各種扶助、年金等)の受給
種類、金額、開始時期、受給者の名前 - 報酬・賃金(給料・賞与等)
種類、支給日、支給額 - 退職金請求権・退職慰労金
種類、総支給額、1/8または1/4の額 - 貸付金・売掛金等
相手方、金額、発生時期、回収見込み額、回収できない理由 - 積立金等(社内積立、財形貯蓄、事業保証金等)
種類、金額、開始時期 - 保険(生命保険、傷害保険、火災保険、自動車保険等)
保険会社名、証券番号、解約返戻金額 - 有価証券(手形・小切手、株式、社債)、ゴルフ会員権等
種類、取得時期、担保差入の有無、評価額 - 自動車・バイク等
車名、購入金額、購入時期、年式、所有権留保の有無、評価額 - 過去5年間において、購入価格が20万円以上の財産
品名、購入金額、取得時期、評価額 - 過去2年間に換価した評価額又は換価額が20万円以上の財産
- 換価した財産(不動産の売却、自動車の売却、保険の解約、定期預金の解約、過払金の回収等)
財産の種類、換価時期、評価額、換価額、相手方、使途 - 受領した財産(賞与の受領、退職金の受領、敷金の受領、離婚に伴う給付等によって取得した現金等)
財産の種類、取得時期、取得額、使途
- 換価した財産(不動産の売却、自動車の売却、保険の解約、定期預金の解約、過払金の回収等)
- 不動産(土地・建物・マンション等)
不動産の所在地、種類、備考 - 相続財産(遺産分割未了の場合も含む。)
被相続人、続柄、相続時期、相続した財産、相続財産 - 事業設備、在庫品、什器備品等
品名、個数、購入時期、評価額 - その他、破産管財人の調査によっては回収が可能となる財産
相手方、金額、時期、備考
陳述書・報告書
- 過去10年前から現在に至る経歴
就業期間、地位、就業先(会社名等)、業務の内容 - 家族関係等
氏名、続柄、年齢、職業、同居の有無 - 現在の住居の状況
- 申立人が賃借、親族・同居人が賃借、申立人が所有・共有、親族が所有、その他の中から選択
- 賃貸の場合は、[民間賃借、公営賃借、社宅・寮・官舎、その他]から選択
- 今回の破産申立費用(弁護士費用を含む。)の調達方法
- 申立人自身の収入、法テラス、親族・友人・知人からの援助・借入、その他から選択
- 親族・友人・知人からの援助・借入、その他の場合は詳細
- 破産申立てに至った事情
- 免責に関する事情
- 過大な浪費支出・ギャンブル等の有無
- ① 内容(飲食/風俗/買物等から選択)
- ② 時期(開始~終了年月)
- ③ 支出総額
- ④ 収入から支出可能額
- ⑤ 超過額(③-④)
- ⑥ 負債総額
- 不利な条件での債務負担・信用取引の有無(換金行為・高利貸しなど)
- ① 内容(高利借入/換金行為等)
- ② 借入先・時期・金額・利率(高利借入時)
- ③ 品名・購入価格・購入時期・換金価格・換金時期(換金行為時)
- 不当な担保提供・弁済の有無(偏頗弁済)
- 時期・相手名・金額
- 虚偽情報による借入の有無(申立1年前~申立日まで)
- 時期・相手方・金額・内容を記載
- 過去の免責関連事由の有無
- 1: 免責許可決定(決定日を記載)
- 2: 再生計画遂行(認可日記載)
- 3: ハードシップ免責(認可日記載)
- その他の免責不許可事由
- 該当法条と具体的事実を記載
- 帳簿改ざん等の有無
- ① 商人経験の有無
- ② 帳簿隠滅・偽造の有無
→ 有の場合:時期・内容・理由を記載
- 免責不許可事由があるとしても裁量免責を相当とする事情
- 過大な浪費支出・ギャンブル等の有無
家計全体の状況(家計収支)
最大のポイントは、繰越金が現金と預貯金で分かれているところです。預貯金は通帳や明細を提出するため、疎明資料に従って作成する必要があります。全ての口座の合計になるため、口座がたくさんあると苦労する傾向にあります。
- 住居費
- 食費
- 日用品
- 水道光熱費
- 通信費(電話代等)
- 新聞代
- 保険料
- 駐車場代
- ガソリン代
- 医療費
- 教育費
- 交通費
- 被服費
- 交際費
内容を記載する - 娯楽費
内容を記載する - その他
内容を記載する
東京地方裁判所本庁の自己破産で提出する基本資料
◆ 必須書類
- 預貯金通帳・入出金明細
過去2年分全て - 住民票の原本
申立前3ヶ月以内発行・世帯全員で本籍が記載されたもの - 源泉徴収票、課税証明書・非課税証明書または確定申告の控え
直近の2年分 - 退職金関係書類
◆ 該当する場合に必要な書類
- 生活保護、年金、児童手当などの公金を受給している場合
各種受給証明書 - 給与の支給がある場合
給料明細書(申立前3ヶ月以内のもののうち2ヶ月分) - 賞与の支給がある場合
賞与明細書(申立前2年分) - 有価証券・ゴルフ会員権を有している場合
- 各種証書
- web明細書
- 差押・仮差押を受けている場合
差押・仮差押の決定正本 - 任意保険に加入している場合(生命、医療、ペット、損害保険など)
- 保険証券・保険証書
- 保険の解約返戻金計算書
- 自動車・バイクを所有している場合
- 自動車・バイクの車検査証または登録事項証明書
- 自動車価格査定書(2社分)
- 不動産を所有している場合
- 不動産登記の全部事項証明書の原本(申立前3ヶ月以内発行)
- 不動産評価書類の原本
- 住宅ローン残高証明書の原本
- 事業をしている場合
- 事業に関する陳述書
- 確定申告書の控え(直近2年分)
まとめ|東京都で自己破産をするなら
東京都の自己破産申立ては、東京地方裁判所本庁(中目黒庁舎)と立川支部で大きく運用が異なります。本庁では即日面接や厳格な自由財産基準など独自ルールが多く、申立て時の準備や書類作成も詳細な確認が求められます。特に管財事件への移行基準や費用、申立書の記載内容など、東京都ならではの特徴を理解しておくことがスムーズな手続きのポイントです。東京都で自己破産を検討している方は、裁判所ごとの運用や必要書類を事前に確認し、弁護士のサポートをしっかりと活用することをおすすめします。
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