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偏頗弁済(免責不許可事由3号)

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今回は自己破産における重要なポイント「偏頗弁済(へんぱべんさい)」について、免責不許可事由との関係や具体例、対策までを徹底解説します。この知識は自己破産を考えている方には必須の内容です!特定の人だけに返済するとどんなリスクがあるのか、しっかり理解しましょう。

偏頗弁済とは?自己破産における重大リスク

偏頗弁済とは、特定の債権者だけに優先的に返済する行為のことです。破産法第252条1項3号では、このような行為を「免責不許可事由」として規定しています。

つまり、偏頗弁済を行うと自己破産しても借金が免除されない可能性があるのです。これは「債権者平等の原則」という破産法の基本理念に反するためです。

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偏頗弁済は「へんぱべんさい」と読みます。「偏る=かたよる」「頗る=はなはだしい」という意味で、特定の債権者を極端に優遇する返済を指します。ただの返済でも、特定の債権者だけに行うと偏頗弁済になる可能性があります。
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偏頗弁済の4つの要件|どんな行為が該当する?

破産法第252条1項3号に該当する偏頗弁済は、以下の4つの要件をすべて満たす行為です。

  1. 特定の債権者に対する債務について
    すべての債権者ではなく、特定の債権者(友人・親族・特定の業者など)だけを対象とした行為
  2. 当該債権者に特別の利益を与える目的または他の債権者を害する目的で
    特別扱いしたい気持ちや、他の債権者への返済を避けたいという意図がある
  3. 担保の供与または債務の消滅に関する行為
    返済行為や担保提供(家や車を担保にするなど)が該当
  4. 債務者の義務に属せず、またはその方法もしくは時期が債務者の義務に属しないもの
    返済義務がない、または返済時期が到来していないのに返済するなど

【具体例】

  • 自己破産を決意した後、親族への借金だけを優先的に返済した
  • 一部の業者には返済をストップしながら、スマホ代や友人への借金だけ返し続けた
  • 返済期限前に特定の債権者にだけ繰り上げ返済した

偏頗弁済によって生じる2つの大きなリスク

偏頗弁済を行うと、以下の重大なリスクが生じます。

免責不許可となり借金が残るリスク

偏頗弁済は免責不許可事由に該当するため、裁判所の判断によっては自己破産が認められても借金の免除が認められない可能性があります。その結果、破産手続きを行ったにもかかわらず、借金を返済し続けなければならないことになります。

破産管財人による否認権行使のリスク

偏頗弁済を受けた債権者は、破産管財人から否認権を行使される可能性があります。

  • 債権者は受け取った返済金を破産財団に返還する必要がある
  • 偏頗弁済を受けた親族や友人が後から困ることになる
  • 破産手続きが複雑化し、時間がかかるようになる
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否認権とは、破産者の財産を不当に減少させる行為の効力を否定し、破産財団に取り戻す権利です。破産管財人はこの否認権を行使して、偏頗弁済で流出した財産を取り戻そうとします。親族や友人など、債務者の経済状況を知っていた者への返済は特に厳しくチェックされます。
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偏頗弁済のタイミングと対応策|状況別解説

偏頗弁済は、そのタイミングによって対応が異なります。

自己破産受任通知到達後の返済

弁護士に依頼した後、債権者に受任通知が到達した時点で、その債権者への返済は停止しなければなりません。もし受任通知到達後も返済を続けていた場合:

  • 貸金業者の場合:貸金業法に違反するため、返済を受け取ること自体が違法となる
  • 一般債権者の場合:管財人から債権者に連絡があり、返済された金額の返還を求められる
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受任通知が送付された後は、その債権者への返済を一切停止しましょう。返済を求められても、「弁護士に依頼している」と伝え、弁護士の連絡先を伝えるのがベストです。
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支払不能時期以降の返済

例えば、A、B、C社の3社に借金がある場合

  • A社、B社には受任通知が到達し返済停止
  • C社には受任通知を送っていないため返済継続

この場合、C社が債務者の支払不能状態を知らなかった場合、管財人がC社から返済金を回収することは難しいとされています。また、債務者に「特定の債権者に利益を与える目的」がなければ、偏頗弁済の要件を満たさないケースもあります。

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支払不能状態に陥った時点で、すべての返済を一律に停止することが最も安全です。一部の返済だけを続けることは、「特定の債権者に特別の利益を与える目的」があったと疑われる原因になります。
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免責決定確定後の任意弁済

自己破産の手続きが完了し、免責許可決定が確定した後は、債務は法的には消滅しています。この段階では、特定の債権者に対して任意で返済することは法的に問題ありません。

ただし、強要や取立てがある場合は違法ですので、弁護士に相談することをお勧めします。

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免責後の任意弁済は「自然債務」への支払いとして有効とされます。ただし、返済を強制されることはなく、あくまで自主的な判断で行うものです。
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偏頗弁済をしてしまった場合の対処法

すでに偏頗弁済をしてしまった場合、以下の対応が考えられます。

正直に申告する

偏頗弁済を行った事実は、弁護士や裁判所に必ず正直に申告してください。隠し通せるものではなく、むしろ発覚した場合の方が状況は悪化します。隠すことが何よりもリスクが高いです。

裁量免責の可能性を探る

偏頗弁済があっても、裁判所の裁量で免責が認められる「裁量免責」の可能性があります(破産法第252条2項)。弁護士と相談して裁量免責を求める意見書を準備することが大切です。

破産財団への組入れを検討

偏頗弁済で失われた金額と同等額を分割払いなどで破産財団に組み入れることで、問題解決が図られるケースも多くあります。これにより債権者間の公平性が回復され、免責許可される可能性が高まります。

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実務上は、偏頗弁済があっても、その金額が少額である場合や、債務者が誠実に対応している場合には、免責不許可とならないケースも多いです。ただし、高額の偏頗弁済や、悪意をもって行った場合は厳しく判断されます。
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まとめ

偏頗弁済は自己破産における重大なリスク要因ですが、以下の点に注意すれば回避できます。

  • すべての債権者に対して公平に対応する
  • 自己破産を検討し始めたら特定の返済を優先しない
  • 弁護士に依頼したら指示に従って返済を一律停止する
  • 親族や友人への借金も含めて正直に申告する

自己破産の手続きでは、誠実な対応が特に裁判所や管財人の印象に影響します。財産を隠したり、返済状況を偽ったりせず、代理人弁護士にはすべてを打ち明けるようにしましょう。それが最終的に円滑な手続きと免責許可につながります。

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